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海運業界特集


2012年がスタートし2011年3月に発生した東日本大震災からもうすぐ1年が経過しようとする現在、今後の海運業界動向を探るべく、6大商社と業界大手企業が出資した海運・造船業界関係の情報配信サイトを運営するマリンネット株式会社の秋澤社長にお話を伺いました。


2012年海運業界動向


マリンネット株式会社 秋澤社長

海運業界を取り巻く世界状況


キャプラン 佐々木 ―――
東日本大震災からもうすぐ1年が経過しようとしていますが、2012年以降の海運業界はどのようになるとお考えでしょうか?


秋澤社長 ―――
東日本大震災は海運業界にも多大な影響をもたらしました。リーマン・ショック後の回復基調が断ち切られ、日本では被災した地域に限らず、また、国内・輸出入に係わり無く物流が減少しました。海運で言えば、コンテナ輸送が減少し、自動車部品の欠品により完成車輸出に影響が出たり、石炭の輸入が減少したりしたことが挙げられます。そして、震災の影響が多少緩和されてきたと思われていた頃に、今度はタイの洪水が発生してしまいました。

2011年は震災、タイの洪水、海運市況の低迷と何十年に1度かの最悪の年でしたが、追い討ちをかけたのがヨーロッパの金融不安、アメリカ経済の低迷、中国の経済成長の鈍化です。

2012年初頭より海運市況は引き続き低迷を続けていますが、新造船の供給圧力が高いこと、すなわち需給のバランスが大きく崩れていることが主要因です。しかしながら、例えば海運市況に多大な影響を及ぼす鉄鉱石の荷動きで言えば、中国が国内産鉄鉱石との価格差を見ながら輸入量を増やせばマーケットが敏感に反応するなど、回復の余地は少なくありません。

また、既に多くの発注を受けている中国の造船所ですが、民間の中小を中心に経営難に陥っている造船所が多く、実際に建造される船の数が少なくなる可能性は大いにあります。従って、現在の悪い流れにどこかで歯止めがかかり、良い状況も見えてくるだろうと考えています。


マリンネット株式会社 秋澤社長

シンガポール進出の狙いとは!?


キャプラン 佐々木 ―――
弊社は多くの企業とお取り引きさせていただいており、昨年頃から積極的にシンガポール進出を進めているように見受けられますが、シンガポール進出にはどのような狙いがあるのでしょうか?


秋澤社長 ―――
既にシンガポールはアジアの海運拠点になっています。それは、シンガポール政府が海運会社に対する税制面のメリットを打ち出していることや、地理的にマラッカ海峡がアジアの主要航路になっているため実際に船の出入りが多く船舶管理の視点から立地が良いこと、タンカーを中心に船社、荷主が集まっているためマーケットが日本より大きくなっていることなどが主な理由になっていると思います。

ただし、税制面での優遇があってもシンガポールは人件費やオフィスレントの費用が高く、総じてランニングコストが日本より高いとも言えます。日本の船会社に限ってはトン数標準税制が本格的に導入されれば、シンガポールに進出する意味合いが薄れていき、今後の流れが変わる可能性はあるでしょう。


マリンネット株式会社 秋澤社長

これからの造船と海運業界転職動向


キャプラン 佐々木 ―――
日本の造船技術は他の製造業と同様に世界一だと思われますが、他国を含め造船技術の状況はいかがでしょうか?
また、今後はどのような船が求められるのでしょうか?


秋澤社長 ―――
韓国は日本に並ぶ技術力を備えてきていますが、中国に関しては日本の造船技術の方がまだまだ優れている状況です。それが顕著に表れる1つの例が船の燃費です。例えば、燃料費の高い昨今、1トンの燃料を入れるのに700ドルはかかります。日本と中国の船で1日の消費量に5トンの差があるとすると1日3500ドル、年間300日航海をすると105万ドル、船のライフを15年とすると約1600万ドルも差が出ます。金利等々他の条件にもよりますが、船価に1000万ドルの差があっても日本の船を購入した方がメリットがあるということになりえます。

他にも、二酸化炭素の排出量規制やバラスト水の浄化義務など、世界的に環境に優しい技術が求められてきています。また、日本の原発事故の影響を受けてLNGタンカーがさらに脚光を浴びるようになりました。これらのことから、日本は今後もエコロジーや省エネ、LNGタンカーなどの高度な技術で他国と勝負をしていかなければなりません。


キャプラン 佐々木 ―――
厳しい状況が続く海運業界ですが、工務監督に関してはまだまだ足りないようです。企業も積極採用を考えており次世代を担う層を探していますが、そもそもその世代が海運業界に少ないため非常に苦戦しています。例えば、他の業界、具体的には造船業界の方でも可という企業もありますが、現実的にはいかがでしょうか?


秋澤社長 ―――
まず、造船企業の合併が今後も発生してくると予想されます。各社は設計を集約するなど合理化を進めていくと思われますが、そのように効率化が進むことで設計に携わっていた方々が工務監督として活躍することは可能だと思います。


秋澤社長(右)とキャプラン 佐々木
マリンネット株式会社
海運・造船業界関係の情報配信サイトを運営。6大商社と業界大手企業が出資した国内初のBtoBサイトでもあり、日本のみならずアジア、欧米からの申し込みも多い。また、金融機関向けの船価評価・コンサルティングサービス、船舶管理ツールの開発・販売にも事業を拡大。その中立性は金融機関からの厚い信頼の基盤にもなっており、業界内からの期待も高い。

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